summer

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/絆



わたしの右腕に傷がある
あの子の左腕にも傷がある
ようちえんのとき ふたりで歩いてたら
自転車にぶつけられてできた傷

その傷の高さが
ぴったり合うね、と
腕をならべて帰った小学校
バレー部に入ったあの子のほうが
背が伸びてった中学校

進路がわかれ
大学出てから会ったあの子は
背の高い身体を少し丸めて
儚い笑みを浮かべていた
元気な子だったはずだった

げんきだった? と訊く
げんき。すこしね。
すこし?
ははは。

静かなカフェでお茶を飲んだ
あたりさわりない話から昔話して
彼女の笑みが色づいていく
ねえ覚えてる? ここ
彼女が自分の腕に触れる
うん、覚えてる。
わたしも服の上から、自分のを押さえる

なにか楽しいことしようよ
どこか楽しいところいこう
わたしたちは計画をたてる
思い出していく おなじように小首をかたむける癖
そっくりのくすくす笑い
これからピクニックに出かける
見かけのちがうふたごみたいに──

3/6/2023, 10:50:18 PM