「逃れられない」
バレー部として最後の試合、
自分のチームがデュースという時に、エースである私にサー
ブが回ってきた。
私がサーブを決められればこの試合に勝ち、ミスをすればまたギリギリの戦いが始まる。
別にミスをしてはいけない訳では無い。
失点をしてもまだ次がある。
けれど、今まで、ここだというところで決めてきたし、
メンバーからの信頼もある。
それに、3セット目でみんな集中力も体力もギリギリだった。
練習ではミスをほとんどしない私も、さすがに緊張がはしる。
誰か変わってくれないだろうか。勝ちたい。けど怖い。
しかし、もう逃れられない運命。
別に無宗教ではあるが、今は全世界の神様に祈ろう。
「お願い、決めて!私!」
そう小さく呟いて、主審の笛の合図とともに、私はサーブを打った───。
5/23/2024, 1:10:48 PM