【願いが1つ叶うならば】
竜と人間の争いが激化し、ついに人間である竜信仰の騎士ですら戦地に赴くことになった。
私は竜信仰側の騎士であった。だから決して勝ち目のない戦いに私も行くよ。許してくれ、姫君。
「いつかまたここで会えるまで幸せでいて。約束だ」
「ええ、必ず。必ずよ」
ああ、互いに分かっているのだろう。
私たちが二度と会う日の来ないことを。
だから、貴女との思い出を全てこの日記に認めた。
いつも貴女と会っていた木の下に埋めることにする。
願いが1つ叶うならば…貴女にまた会いたいものだ。
生きて再会して、貴女と余生を歩みたい。
それが許されぬと言うのなら、この日記が、私たちの記憶がいつまでも潰えぬことを。
遠い未来に生きる何者か託そう。
この物語を読んでくれ。
3/11/2025, 9:27:44 AM