NoName

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♯手紙を開くと


 宛名も差出人の名前もない、まっしろな封筒が下駄箱にぽつんと置かれていた。
 帰宅後、丁寧にシールを剥がし中に入っていた便箋を取り出す。軽く深呼吸をし、手に汗を握りながら開く。
 そこには、何も書かれていなかった。
 イタズラか。
 ただの入れ間違いか。
 どっちにしても、この手紙は「お前はつまらない」「取るに足らない人間だ」と告げている――僕は、そんな気がしてならなかった。

5/6/2025, 5:00:30 AM