四片

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〝10年後の私から届いた手紙〟

ある日、1通の手紙が届いていた。
宛名も住所もない、不思議な手紙。
怖くて捨てようかとも思ったけれど、
何故だかとても大切なものに思えて、開けてしまった。
そこには、10年前の私へ。
から始まるメッセージが書かれていた。
本当に10年後の私から届いた手紙なのだろうか。
嘘かもしれない、というかそれしかありえない。
…なのに、親近感のわく慣れ親しんだ字。
嘘かを決めつけるのはまだ早いのかもしれない。
とりあえず、読んでみることにした。
10年前の私へ
お元気ですか、なんて始めようかとも思いましたが、
私はあなたのことを知っているわけですから、
必要ありませんよね。
程々に楽しく、なんとか暮らしている、
年齢=彼氏いない歴。
地味だね笑。
あれ?涙が…あ、どうも非リアです。
仲間だね!私が何歳かは気にしちゃダメだぜ!
おっと、
最近ふざけてないせいではめを外してしまいました。
さて、あなたへ伝えたいことが一つあります。
あなたは、大切な人を失います。
でもその変わり、また大切な人ができます。
どうか出会いを恐れないでね。
あなたは1人じゃないよ。
頑張れなんて無責任な事言えないけど、
私はあなたを応援しています。
最後に、この手紙も、記憶もすぐに消えてしまいます。
けれど安心して、心には残るから。
さよなら、また未来で。
…不思議な夢から目覚めた私は、
何故か目が潤んでいた。
夢の内容も覚えていないのに。
けれど、心は温かかった。

2/15/2024, 3:02:25 PM