ストック1

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夏の暑い日に風鈴の音
涼し気な凛としたこの音を聞けば、暑さが和らぐような、そんな感じがする
はずだった
猛暑は僕の想像を超えて厳しかった
風鈴の音はまさに焼け石に水
涼やかな音でごまかしきれないほどに、灼熱地獄だった
周りの建物に飾られた風鈴はなんの効果も発揮しない
なぜ僕はこんな太陽が照りつける中を歩いているのだろう
もう無理だ
どこでもいいから建物に入らなければ熱中症確定だ
たまたま目に入った店に入る
何の店かはわからないが、しばらく暑さをしのげるなら、とりあえず入って休もう
さすがに冷やかしは後ろめたいから何かしら買うつもりだ
僕が入ったのは、クーラーの効いた雑貨屋だった
様々な面白い見た目の商品が売られている
その中で、風鈴の音が聞こえた
クーラーの涼しさと、風鈴の涼しげな音とで、生き返るような気分だ
さっきは無力だった風鈴も、店の中では暑さに当てられた僕の心を癒やしてくれる
風鈴の方へ目を向けると、ガラスではなく、金属で作られたものだった
ああいう風鈴もいいな
僕は雑貨屋でしばらく休み、体の調子を整えたあと、金属の風鈴をひとつ買わせてもらうことにした
用事が済んで帰る途中でよかった
なにせ、店で休んだあとは自宅に帰るだけでいいのだから
自宅でクーラーが効いた中、さらに涼しい風鈴の音を鳴らして楽しむのもいいだろう
そう思えば、帰り道も頑張れる気がする
さあ、もうひと踏ん張りだ

7/12/2025, 11:24:28 AM