リオ

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 春夏秋冬と季節ごとに花を咲かせ、街にアクセントを添える花々を眺める。ある花はベンチで項垂れるサラリーマンの足元に寄り添うように、ある花はお小遣いを握りしめた少年の目の先に。
 昔、母に言ったことがある。
「どんなに世話しても最後に枯れるよ。片付けも大変だし造花にしたらいいのに」
 母は落ちた花と枯れた葉を片付ける手を止め、微笑みながら私に言った。
「綺麗なものが永遠に続いてしまったらそれが普通になるでしょう? 私もいつか貴方のことを忘れた短気なお婆ちゃんになるかもしれないし、貴方もいつかは素敵な人や音楽と出会うこともあれば鏡を見ながら『シミが〜、シワが〜』なんて言う日も来るでしょう」
 今も結構言ってるけどね、と私が言うと今以上によ、と母はカラカラと笑った。
「花も人も似たようなものよ。勝手に育って勝手に枯れる。その姿はその時にしか生まれないわ。造花には絶対見れない姿よ」
 まぁ、まだお子ちゃまの貴方には分からないかしら〜?と笑う母に当時の私はぶつくさと文句を言っていたが、今はなんとなくだが分かる気がする。

7/24/2024, 5:31:09 AM