「いやー、秋だね!」
「この景色を見てその感想しか出てこねえのは流石としか言いようがねえよ」
俺たちの眼前にあるのはたくさんの落ち葉の入ったゴミ袋。しかも家の敷地内だけでなく、道路にもそこそこ落ちていたものたちだ。
学校が休みの今日、やらねばなるまいと竹箒とちりとり、45Lのゴミ袋を用意してさっさか掃いていた。
最初は俺一人でやっていたのだがいつの間にか幼なじみ殿も参戦して、ようやく終わった。
時間にしておよそ一時間ぐらいだが、体感的になんだかもう少しかかったような気もする。
「さて。一仕事終えたからお腹すいたね。
秋の訪れを記念して……新作ラテやフラペチーノでも飲みに行かない?」
「何の記念だ。ただお前が飲みたいだけだろうが」
「むう、バレたか」
少し不満げな顔になっている幼なじみ殿を横目に俺は玄関に置いてあったショルダーバッグを手に取り、そのまま外へ出てカギをかける。
「あれ、出かけるの?」
「ん? 飲みに行くんだろ? 新作ラテとフラペチーノ」
「え? でも君……」
「行かねーの?」
俺がそう訊くと幼なじみ殿は顔をパァッと明るくして「行くっ!」と元気よく返事した。
なんやかんや幼なじみ殿には世話になってるし、今日も手伝わせてしまったようなもんだから、ちゃんと礼をしとかないとな。
まあ……これが礼になるのかはわからねえけど。
……結構嬉しそうだからこれで良い……のか?
10/1/2025, 2:14:30 PM