NoName

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埃被ったアップライトピアノ
未知の妹だけが弾いている。
どうやら僕の詩、
隠し場所からこっそり盗んで
作曲したらしい。
時折 男になって ロックにもなるから
油断ならない。
「兄さんの詩はイミフが過ぎるけどなんとなく好きだよ」
なんて言われる。
黒鍵はブラックホール
白鍵は光だと言う
「じゃあお前の名前は?」
「うーん。今日は、ロザリー」
「....へえ」
時折透ける肌が逆光を受けてメロディが変調する
ふと思い立って立ち上がる
スタインウェイが震えている。
「兄さんが怒ってる」
多分眠いせい。
いつか死ぬ時にまた来るわ、
ときっと言う
「いつか」
(ほら...)
「月光、ちゃんとやりなよ」
「おー」(そっち)(なんで知ってるよ...)
背筋が凍り付いた。
ツイッターなんか見てたのかよ....。
「いやみんな見てるって。ツイッターくらい」

僕が鍵垢の理由。
「鍵なんて私が食べたよ」
黒い鍵盤が鳴った。


8/13/2022, 7:00:04 AM