お題「夢と現実」
⚠️死ぬ要素あり
「愛してるよ。」
そう言ってくれた貴方のことを思い出す度に、夢と現実の区別がつかなくなる。
遠くの何処かで生きているんじゃないかって微かな期待をしてしまうのだった。
そう考えても、もうこの世にあなたはいないのに。
「来世で会えるのかな…。」
彼が好きだった未来の話。
私はあまりそういう話を信じなかったけれど、今なら来世があると信じられる。
彼のお墓で線香の煙がゆらりと揺れた。
空は碧天で、あの人の澄んだ心を表しているみたいだ。
「私も愛してるよ。」
恥ずかしくて貴方に言えなかった言葉。
たったの五文字なのに伝えられなかったなぁ…。
ねぇ、あと何十年掛かるか分からないけど。
もし、貴方の元に行けたらもう一度抱き締めさせて。
恥ずかしくて言えなかった言葉も沢山伝えたいから。
見上げれば一筋のひこうき雲が、太陽の方を目指して伸びていた。
12/4/2022, 10:08:54 AM