『罰』
シュルシュルと包帯を巻く音だけが響く。今この部屋にいるのは私と彼の2人だけだった。みんな私たちに気を使って部屋を出ていってしまったけれど、私と彼との間には気まづい空気しか流れない。
そんな沈黙を破ったのは彼だった。
「…ありがとう、包帯を巻いてくれて」
少し俯き気味だった彼がぽつりと呟く。
「…いえ、これが私の仕事ですから」
そう返した私に彼は小さく笑った。
「ふふっ…君は優しいね」
その言葉に包帯を巻く手が止まった。彼が心配そうに私の名前を呼ぶ。
そう、これは優しさなんかじゃない。貴方たちが傷つくのを見てることしか出来なかった、私からのせめてもの贖罪。私には止めることも出来た。だが、それをしなかった私への罰。
「ごめんなさい…ごめんなさい……!」
いきなり泣き出す私に彼は驚きながらも背中を撫でてくれた。
私は優しくなんかない。自分の保身しか考えられない臆病者。
背中にある体温がチクリと心に刺さった。
【優しさ】
1/27/2026, 1:18:46 PM