箱庭メリィ

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ぎゅってしてほしい。


/『言葉はいらない、ただ・・・』8/30





部屋のチャイムが鳴ってドアを開けてみれば、ずぶ濡れの君がいた。
「どうしたの、とつ――っ」
言葉は最後まで言えなかった。腹に衝撃があったからだ。
「どうしたの、突然?」
改めて受け止めて、衝撃に尋ねた。
「きょう、とめて」
背中に回された手に力が入る。呻くように絞り出されている声は、きっと今にも泣きそうなのを我慢しているのだろう。
「……いいよ」
少し考えて、承諾した。手の力が少し弱まる。
「いいけど、中に上がる前にまず、シャワー浴びておいで」
玄関先に君を残して、マット代わりと体を拭くバスタオル等々を取りに室内に戻った。
君をバスルームに通した後、君に合うサイズの服なんてないのはわかっていたが、なにかないかとクローゼットの中を漁りながら考えた。

(冷凍うどんあったっけ?)


/8/29『突然の君の訪問。』

8/30/2023, 6:44:25 AM