頑張って生きる一般人さん。

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君だけが大雨の世界にいたんだ。
本当に、君だけが。
すっぽりと切り抜かれたように。
僕は快晴の青空が広がっている世界。
この時、僕は初めて『雨女』というものを見た気がする。
あまりにもずぶ濡れだから、思わず声をかけた。
「あの、折りたたみ傘ありますけど」
だけど彼女は無言だった。
前髪が長く、表情が隠れている。
すると彼女は踵を返し、ゆっくりと歩き出し、どこかへ行ってしまった。

僕はずっと不思議に思いながら、家でボケっと過ごしていた。
そんな時、ふとチャイムが鳴り響いた。
慌てて立ち上がり、玄関の方へ向かう。
ドアを開くと、そこにはさっき見かけた女の人がいた。
それも雨が降っていない状態で。
「あれ、傘は――」
「……いい」
「へ?」
「いらない。私が欲しいのは、」
か細い声で呟くと、彼女はギュッと僕を抱きしめてきた。
そして上目遣いでこっちを見つめてきた。
澄んだ空のような綺麗な瞳が、じっとりと濡れた髪の間から現れる。
「私が欲しいのは、あなたのような『晴れ男』なの!」
……え。
えぇー!?

……これがとある『晴れ男』と『雨女』の衝撃的な出会いである。

〜雨に佇む〜
〜突然の君の訪問。〜

8/28/2023, 10:42:38 AM