誰もが自身の絶対的な理想を生きられる夢の世界。
そんな世界で、彼の夢はとても優しい物語を紡いでいた。
彼が大切な人達と不自由なく幸せに暮らす夢。
誰にも負けない力を持つことでも世界一のお金持ちになることでもなく、不変の日常が彼の望む理想らしい。
彼の理想の日常には自分も居て、環境が変わっても彼と離れることなく日々を過ごしているようだ。
彼の描く理想の夢に自分の存在があること、そして大切な存在として傍に置いてくれていることが何よりも嬉しかった。
この夢は醒めないでほしいと、この夢に浸っていたいと願ってしまった。
自分の理想を叶えた夢の世界よりも、誰かの理想の中に存在できる世界の方がよっぽど魅力的な楽園に思ったのだ。
実現不可能な理想だから、夢に見る。そして夢はいつか醒めるものである。
現実は決して楽園などではなく、絶対の不変など不可能だ。
自分達の環境が変わった時、果たして自分達は彼の理想通りに変わらぬ関係で居られるのだろうか。
【お題:楽園】
4/30/2026, 1:54:57 PM