雫華麗詩羽

Open App

【見知らぬ街】

電車とか、車とか、
出かける時はいつも

景色を見た

空を見た

どこか知らないところに、
行きたくて。


誰一人として、
私を知る人が居ない場所に
行きたくて。


見知らぬ街には

私が知ってる人も

私のことを知ってる人も

いないから。



敵も
味方も
いないから。



息がしやすかった。
前を向いて歩けた。



ここにいる人たちは、
『誰一人として、私のことを知らないんだー』って、
そう思うと肩の力が抜けたの。



見知らぬ街で
まだ見たことのない自分と出会う。

景色と出会う。



それが、たったそれだけのことが 、
すごくすごく、
『しあわせ』だったの。



見知らぬ街の
見知らぬ香り、景色、人


全部、忘れたくないなって思った。



だから私は、

写真には収めなかった。

心に、自分の記憶に、

しっかり留めておきたいと、思ったから。



写真を撮って思い出にするのは、
『なぁんか、違うなぁ』と思ったから。



帰りの電車に乗って、
また窓の外の景色を見る。


私は心の中でふふっと笑った。

『よし、次は、あの街に行ってみよう』

そう、思ってね。


8/24/2025, 11:15:15 AM