No.255『記録』
記録や勝敗にこだわる人たちに思い出を奪われた。
他のレーンよりも一周遅く走る私たちは見世物にさせられた。
でも誰を恨むことだってできなかった。
彼らの考える楽しさはいつだって勝ちと同義だった。
それが1番だと考える彼らは正しいわけでもないが間違っているわけでもない。
じゃあ、私たちが悪いのか。
それだって違うだろ。私たちは望んでこんな風になったわけじゃない。
これはどうしようもないことだったんだ。分かってる。そうやって自分に言い聞かせた。だけど……うん、やっぱり苦しかったなあ。
2/27/2025, 8:25:42 AM