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"耳を澄ますと"

サプ…サプ…

ようやく抵抗を感じるようになる膝までしょっぱい水が浸かったところで、私は幸福の絶頂にいた

人生、ずっと上手くいっていることなどなかった。
全てが上手くいかない。なんてことは無かったけれど

私が私の人生を歩むには
あまりに難し過ぎた

けれど、希死念慮があるわけではない。

視界から青以外が消える。心臓と肺が素早く動き始めた。

心からの期待で、目が熱くなる
腹まで浸かったどこまでも続く青があまりに美しくて、どうにかなりそうだった


胸まで水が浸かるようになると、私は引き返した

元々こういう予定だった。
死ぬ勇気など、どこを探しても見当たらなかったから


苦しく死ぬなんて、真っ平ごめんだから


サプ…サプ…

怖かったのかもしれない。
たった一つの死にたくない理由を掲げて、縋り付いて
数多の死にたい理由を遠ざけて、見ないふりをした

爪先だけが未だに広い青の一部に浸かっている

いつからか、私がどうしたいかを知るのを嫌がった
生きたいのか死にたいのかさえも

私自身の言葉に、耳を傾けることはきっともうない。

5/5/2026, 7:33:47 AM