『空恋』
「私ね。空の天気は空の表情だって思うんだよね!」
不思議なことをよく言う彼女は
雨の時よくそんな話をしていた。
「晴れなら笑顔だからみんなよく笑うし
雨の時は泣いてるからみんなしんみりすると思ってるの!」
「泣いてる...?」
「うん!だからこうやってしんみりした気持ちになって
みんなで辛い気持ちを共有してるんだよ!」
なんだそれなんて思わなかった。
そんな事を考える彼女に尊敬していた。
だから彼女がその話をする時には一緒に
空の気持ちを考えていた。
今日は晴れ。空は満面の笑みだ。
彼女のように空に表情が付いていることが当たり前になった。
別れた彼女もあの空のように笑っているだろうか...
気がつけば僕は彼女と同じように空に思いを馳せていた。
語り部シルヴァ
7/6/2025, 2:16:23 PM