ストック

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左手の薬指で輝く指輪。私の婚約者にして幼馴染みだった彼が送ってくれたエタニティリングだ。
しかし、彼は事故に遭い、私を置いてこの世から去ってしまった
でも、私はこの指輪を外すことができない。
子供の頃からずっと一緒にいたんだもの。
この指輪をしていれば、いつものようにまた逢えるかもしれないから。


指輪なんて贈るんじゃなかった。彼女は今日も指輪を捨てられない。
俺は彼女の幼馴染みだった。ずっと彼女のことが好きだった。
だから「永遠の愛」を誓うエタニティリングを贈った。
「必ず幸せにするから」という言葉と一緒に。
でも、それはもう叶わない。だから、悔しいけど、彼女には新しい幸せを見つけてほしかった。
しかし、彼女は指輪と俺への想いをどうしても捨ててくれない。
俺が彼女の幸せを奪ってしまった。その事が何よりも辛かった。
触れることさえできないけれど、彼女の傍に居ることしかできない。


ねえ、あなたは今、私の傍に居てくれてるんだよね。
私、幸せだよ。
友達は「そろそろ現実を受け入れなよ、彼のためにも」と言うが、友人は何か勘違いしてる。
だって、これがあれば、優しいあなたは私を置いて彼岸に行ったりしないでしょう?
だから私は、この指輪を絶対に捨てることはない。

8/17/2023, 12:35:38 PM