郡司

Open App

俄に多忙なきょうこのごろ、小さな灯火をガン見して頭を少し休めたいところなんだが、寝落ちのリスクも高そうで手が出ない「キャンドルの癒し」。

「キャンドル」と表現すると、心の癒しとか、まじめで敬虔な心とか、1/fのゆらぎとか、リラックスとか、クリスマスとか、静かながらも「温度の高めな雰囲気」が想起される。

「ろうそく」と表現すると、私の場合、仏壇とか、停電とか、子どもの手持ち花火の火種とか、栽培ハウス内の霜被害予防とか、墓参必須アイテム。とにかく、生活の匂いがぷんぷんするのだ。アンバーグリス(龍涎香)はおばあちゃんちの仏間のにおい、みたいな。

日本だけでなく、ろうそくの光はいろいろな文化のなかで、「心に直結する」部分を照らしあたためてきた。実用的なあかりとしてももちろんだが、心の方向を導く助けとしても多く用いられてきた。日本ではろうそくの灯りを「灯明」と呼び、迷わぬように、道しるべのように、その“場”に活力を加えるものとしても大切にされてきたし、世界的な各宗教の祈りのときや、よく知られているところではクリスマスのモミの木にも、大切な意味を持ってミツロウの灯りが灯された。

あの小さな灯火に、何を思うか、あるいは思わないかは、人それぞれの「個人的なもの」だと考えるが、灯火を媒介役として、真摯で静かな、大切な想いを同じ方向へ共有することはできる。多分。ろうそくの火は消えやすく儚いところもあるが、似ている・同じねがいを心に灯す人たちの「内なるつながり」は、消えやすくないし儚くもない。静かに、力強く、そのあかりを胸に護って歩いてゆく。「ちいさなともしび」は、決して小さくないのだ。

11/19/2023, 12:52:43 PM