やさしくしないで
世界線はt72(世界線というのは気にしないでください。)
「僕と結婚してください」
彼は何時もの様に花束をもってプロポーズしてきた。私の答えは決まっているに。
「······ご、ごめ··ん··なさ··い」
いつもの様に断ると彼は花束を私に渡して「分かった。じゃあ一緒にデートしよう」と次はデートのお誘いをしてきた。
「···わ、わたし···には··も、·もう··かか··わらないで···ほ··しい」
彼にそう言うと彼は私の頬を撫でながら「どうして?僕は君が好きなのに。僕は君の全てを愛せるよ、君が戦争罪人だとしても。」
「····わ··わからな··い···ど··うして···」
どうして私なんかを··私は···
「あぁ、まだ気にしてるの?僕の腕を引きちぎった事?別に怒ってる訳じゃ無いんだよ?寧ろ僕はあの時、あの戦争の時、君が僕の左腕を引きちぎった瞬間、君に恋をしたんだ。」
彼は愛おしそうに左腕の義手を撫でる。理解が出来ない。私のせいで左腕を無くしたのに。
「それに、僕だって君の首を切りつけたでしょ?お互い様なんじゃない?寧ろ僕たちお似合いだと思うんだけど」
彼はそう言って私腰に手を回してくる。
「僕は君が好きなんだ。いや、愛してる。君は何も気にしなくていいんだ。君の苦しみも葛藤も僕は全て理解してあげられる。」
彼はさらに私に密着してくる。私は抜け出そうと藻掻くが私と同じ人間兵器の彼は尋常じゃないくらい力が強くて抜け出せない。
「ねぇ、君は僕が嫌い?嫌いじゃないよね?それなら結婚しようよ。僕は君を恨んでも憎んでもない。ただ愛してるんだ。」
「···そ、···そんな··こと···いわれて··も」
「···今日はここまでにしとくよ。また花束を用意してプロポーズするね。」
彼は私から離れて、次は私の手を握って「義兄さんの所まで送るよ」そう言って私の手を引っ張る。
彼の手はとても優しく、歩くのが遅い私に歩幅を合わせてくれている。彼の顔はいつもの様に無表情だが私を気遣って何歩か歩く度に私の方を見る。
なんで私なんかを優しくするの?
いっその事罵ってくれれば良かったのに。
2/3/2025, 10:28:02 AM