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私には、昔に植え付けられた
“トラウマ”がある。
今でも克服することができていない。

私は、小さい頃からドジだった。
それもありえないくらいの。
絆創膏や湿布で済めばいいほう。
包帯を巻くこと、骨折は日常茶飯事だった。
病院の先生は私の名前を聞くと、

「また貴方?」

と言うようになるほどだった。
怪我の理由を聞いても笑わない、私の唯一の相手。
そろそろ呆れられそうだけど。

これは、中学1年生の話。
これくらいになると、怪我の数は減ってきた。
だが、1回1回の怪我がどんどん重くなってきた。
私はいつもの病院の先生に
「貴方はいつでも注意散漫なのよ。」
そういわれた。
でも、意識しても今まで何も変わってこなかった。
どうすれば、怪我が減るだろうか。

ーーそんなことを考えていたら

「危ないッッ!」

は?

この日、私は先生に呼ばれていた。
以前骨折をしてしまったから。
その途中、車に轢かれた。
轢かれたのは、

私の通院に付き合ってくれた恋人だ。

庇われたんだ。
やっぱり、私は注意散漫だ。

骨折を何度もしているから、
あの個室には慣れているつもりだった。
だけど、恋人のにはいつまで経っても
入れなかった。入りたいのに、入れない。
恋人の無事を確認したい。

あれから私は、もう怪我をしないと誓った。
死ぬまで病気にも、怪我もしない。

もうあそこには入りたくないから。

【病室】#3

8/2/2023, 12:33:02 PM