仕立ての良いスーツに身を纏った青年の背中に貼られたカイロ。
そのカイロにマジックで書かれたアンパンマンらしきが、先程から私を見つめている。
暖かさと温かさが同居する世界…というか背中。
ポンポンと肩を叩き教えてあげた方が君の為なのだろうけれど、これから君の背中を目にすることで生まれるであろうあたたかさのお裾分けを、私が奪ってしまうのは忍びない。
君の背中にはもうしばらくの間、この殺伐とした社会の湯たんぽとなってもらうことにするかな。
——— 君の背中 ———
2/9/2025, 1:29:56 PM