「日常」
ある日、私は突然会社に行けなくなった。
仕事に行きたくないのは、入社してすぐから2、3年は続いていたが、だんだん起きる時間が遅くなり、ここしばらくは家を出る20分前に起床、慌てて最小限のしたくだけして出掛けていた。
その日は起き上がる気力が全くなかった。会社に行かなくてはならないと思う頭に対して、体が拒否していた。
私は、かなりの気力を使い職場に電話をして、体調不良で欠勤することを伝えた。すみません、すみません、と何度も言っていた。電話を終えた後の安堵感は、魔法のように私の緊張を和らげた。
私はうつ病と診断され、長期の休養を命じられたが、全てに自信を失っていたため、誰にも相談せず退職届を提出し受理された。
そして今までの日常と訣別した。
あれから5年経ち、現在の私は、もう内服も通院もしていない。
スーパーで、開店前の品出しと閉店前後の値引きシール貼りや陳列品の整頓といったバイトをしている。昼間は自宅で家事をしたり、ときには街へドーナツを食べに行く。
これが今の私の日常だ。
そして次の日常を模索しているのである。
6/23/2024, 4:15:48 AM