これはもう、絶対に許してもらえない。
どれだけ言葉をつくしても、頭を下げても足りない。底のないバケツに水を注ぎ続けるように無意味で、時計の秒針がただ動き続けるのをわざわざ注視しないのと同じ。
何をいっても言い訳で、謝罪をすることは当たり前。
だって、私が悪いから。
でも1つだけ方法がある。これが効くのは彼相手だからで他の人になんてしようとも思わない。どんなに怒っていても決して私から目をそらさない彼にだから通じる。いや、通じてほしい。そうじゃないと泣いちゃう。
彼の正面に立つ。きっと距離をとろうとするから逃げられないように首元に腕をまわす。力では勝てないから素早く近づくんだ。彼は驚いた顔をしているだろうけど私は必死だから気づかない。恥ずかしいくらい真っ赤になって今度は私が逃げるだろう。
その後は、どうだろうか。やっぱり許してもらえないだろうか、それとも逃げることだけは許してくれるのか。
私はどうしようもなく彼に囚われていて、彼もそうであってほしいと思ってしまう。だめだ、やっぱり泣きそう。はやく許して。
【題:本気の恋】
9/13/2024, 9:05:51 AM