ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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かたちのないもの

意味がわからない。風にかたちはあるか。あるとも。見えないだけだ。炎にかたちはあるか。あるとも。定まらないだけだ。水にかたちはあるか。あるとも。方円の器に従うだけだ。香りも味もその成分にはかたちがある。音でさえもかたちで表すことができる。おれはイライラして、目が飛び出るほど高価な羊皮紙の魔法書を床に叩きつけた。おれの生涯の願いはここではないどこかに行くこと、幼い頃からずっと夢見てきたその願いを叶えるには「かたちのないもの」を「見えない器」で煮詰めないといけないのだとその魔法書には書いてあった。荒れ狂うおれをメイドのサラがなだめた。

「ご主人様、かたちのないものも見えない器もご主人様はお持ちです。お気づきにならないだけです」





(今回のはリドル・ストーリーです。解答編はございません。ごめんなさい。)

9/24/2024, 10:18:44 AM