彗星

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題:群青

「ねぇねぇ、『青く深く』っ言われたら何を思い浮かべる?」
「『青く深く』……ですか?」
「そう!」
「そうですね……。海、でしょうか」
「やっぱり!?」
 ピーチが幼い子供の様にロゼッタに顔を近づける。ロゼッタは、『はい』と言って、話を続ける。
「『青く』とだけ言われれば、空や星が思い浮かびます。でも、『深く』も加われば、深さを思い浮かべるため、海だと思いました」
「結構考えて言ったのね。私は特に考えずに言うわ」
「当たり前でしょう。ところでピーチさんは何を思い浮かべたのですか?『やっぱり』ということは、やはりピーチさんも海でしょうか?」
「ふっふっふっ、私はね……」
 ピーチは不気味に笑いながらニヤつく。
 ロゼッタは、ピーチのその笑い方とニヤつきに、少し引き気味である。
「リンクよ」
「………ふぇ?」
 変な声が出た。
 何故そこでリンクが出てくる?
「ほら、リンクのイメカラ(イメージカラー)って青でしょ?」
「そうですけど、『深く』の理由は?」
 ピーチはまたニヤつく。
 ロゼッタは、ニヤつきが止まらないピーチを本気で心配している。
「ロゼッタに対する『深い』愛よ」
「………ふぇ!?」
 また変な声が出た。顔が真っ赤になる。
 ピーチはそのロゼッタの様子に、少し満足そうに言う。
「だってリンクって、ロゼッタに対してはかなり優しいし、ロゼッタを大切にしてるっていうか……」
「いやいやいや、優しいのは誰に対してもですよ!?私以外のことも大切にしてますよ!?」
「その否定の仕方は、ロゼッタもリンクのことを……?」
「違いますってば!!!!」
 最後は顔を限界まで赤くして、全力で否定する形になった。
 その後、ピーチはロゼッタと別れた。
 帰る途中、ピーチは独り、呟いた。
「わかりやすいのよ、あんたは。リンクのこと好きなの、バレバレよ」
 呟いた後、ピーチは思いっきり伸びをした。
「さーて!恋愛の大先輩として、ロゼッタのことを全力でサポートしなきゃ!付き合うとこまで持ってかなきゃね!」
 濃い群青色の空に向かって、そう宣言する。
(見てなさい、リンク。あんたを『好き』から『愛してる』にしてやるんだから)
 ピーチは誰もいない平原で、拳を突き上げた。

お題『青く深く』 

6/29/2025, 10:39:20 AM