私が殺した人の分だけ花を植えたのよ。
戸惑う僕を見て彼女は、冗談よ、と付け加えた。
でも、とも続ける。
ここは誰かの思いが埋まる場所。
皆が花を植えて誰かに祈る場所。
僕は花畑を見渡す。
色とりどり、種々様々な花が視界の限り続く。
道にいる人の中には、花に話しかける人や、花に祈る人がいる。
みんな私と同じ人よ、と彼女は呟く。
誰もが直接手にかけたわけではないけれど。
自分が手にかけたように思えて仕方がないの。
そういう人たちが、少しでも心の行き場を持てればいいわね。
彼女は微笑む。
僕は、あなたは誰に祈っているんですかと聞いた。
みんなよ、彼女はわざとらしく言った。
どこまでも鮮やかな色彩が青空の下を埋め尽くしていた。
題:花畑
9/17/2024, 1:58:43 PM