ひと

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眠りにつく前に



「なぁ、お前が眠りについてしまう前に…言っておきたい事があるんだ。だから、まだ眠るなよ…」
「…」
「なぁって。」
「…」
「頼むからっ…、目を開けてくれよ」
「…あのさ、俺寝てんの。眠りについてんの。今日の合宿の鬼ハードメニューで死ぬほど疲れてんの!寝かしてくんない!?」
「このままなんて許さないぞ!」
「許して!?あと死んでない!」
「お前はいつもそうだよな、健人…どうして…お前がっ…」
「何が?あと大事なことだから2回言うね?よく聞けよ?俺は、死んでない。」
「健人とはもう長い付き合いだったよな。」
「続けんなよ。もうお前どんなメンタルしてんの?てか話し聞けよ。」
「俺が困ってる時、お前はいつも助けてくれたよな。」
「………もういいよ。付き合えばいいんだろ。あぁそうだな。洸太とは幼馴染だし、横で泣かれるのうざいしから。」
「…。俺が大事なところでミスって負けちまった大会の後、お前だけが励ましてくれて…俺…嬉しかったんだ…。俺!あの時の事一生忘れねぇからぁっ!!」
「ねぇ声でかいって!」
「だからさ…、あん時みたいに、励ましてくれよ。なぁ、もう一度俺の背中押してくれよっ、ぅ…」
「泣くなあ?意味のわからん涙を流すな?」
「ぅ、…っ、」
「言う事無くなったからって、泣いて誤魔化してるのバレバレなんだよ。」
「チッ」
「それは俺の分の舌打ちだ、返せ。」
「んだよ、ノリ悪いなぁ健人ー。」
「あのさ、今何時だと思ってんの?夜中の2時だぞ?一体何の用だよ!」
「それは」
「それは?ぐっすり寝てる俺を起こす程だから、さぞ重大で緊急な用事なんだろうな?!」
「トイレついて来て」
「はい?」
「だから、トイレ、ついて来てっ☆」
「…それは…重大かつ緊急だな…?」
「…☆」
「………ちなみに、お前に男子高校生としてのプライドは」
「ない☆」
「………ぁ、うん、なんかごめん。…行こっか。」
「あざ〜!」


「……俺、お前が総理大臣になればいいと思うよ…」
「?」

11/2/2024, 5:39:03 PM