大人のカップルです
デート前に服を選んでもらう。
───
「この服、どっちが似合うと思う?」
「どっちも似合うと思うけど」
「え〜、いっつもそう言ってるじゃん。もうちょっと彼女に対してさ、こう、なんか言ってもいいんじゃないですか…」
「…事実だし…」
「うわ急なデレやめて」
「は?」
「すんません」
世間の彼氏彼女の方々が一度は考えたことがあるであろう、「どっちが似合う?」問題。
ご覧の通り、私の彼は「どっちも似合う」と言う。
たまには「こっち」とか言っても私は嬉しいんだけどな…だから聞いてるっていうのに。
「たまには選んで欲しいんだけど…」
「じゃあこっち」
「いや早くない?」
「だって選べって言ったのそっちでしょ」
「いやそうですけど…ならいつもこんな感じて言ってくれれば私だって困んないの」
するとこちらを見つめていた猫目な彼がそっぽを向いてぼそぼそ言った。
「だって…」
「だって?」
「アンタの服も、俺が決めたら、俺の好きなようにしすぎちゃうから」
「は」
え?さすがにツンからのデレは無理…じゃなくて!
なんだこの可愛い男は!!!
要約すると、自分が好きなようにしたら彼女の自由が効かなくなってしまうことを恐れていた、ということらしい。可愛すぎんだろ…
「私が選んで欲しいから聞いてるんだよ」
「そうしたらほんとに俺の好みになるけどいいわけ?」
「そりゃもちろん!逆に私以外にそんなことしたらぶん殴るからね」
「アンタのパンチ弱いけどね」
「口答えしないの」
彼のやさしい嘘は今日から正直に変わりました。
20250124 【やさしい嘘】
1/25/2025, 1:17:43 AM