逆光に照らされ、私はランウェイを歩き出した。
夢にまでみたこの舞台。私が1人で輝くことのできる、唯一の場所。
一歩一歩踏みしめて歩く。動きが固くなってしまっているかもしれない。でも私は気にしない。やっとこの舞台に立つことが出来たのだから。
幼い女の子の声が聞こえてくる。私を紹介してくれているようだ。
「えんとりーなんばー1ばん!」
私はそのまま歩き続ける。ちょうどターンしようとした時、
不意に目の前が暗くなった。さっきまで眩しかった逆光がなくなる。え…
おもむろに、私は大きな男の手に捕まってしまった。
幼い女の子の声がまた聞こえる。大きな声で怒っているようだ。
「あたしのリカちゃん、返してー!」
もう、
わたしが眩しいリビングの光を見ることはなかった。
1/24/2024, 4:10:54 PM