アリス

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『別れ』


ぽっかりと、心に穴が開いたようだった。
これが喪失感、というものだろう。

妙に冷静だった。
隣に君が居ないことを正しく認識し、
それでもなお、冷静だった。

君が居ないのだから君の荷物を片付けなければならないな、と思った。
君が買ってきたアイスもそのままだから、食べてしまわないとな、と思った。

君が好きだったお菓子、君の服、君の想い出全てがこの部屋に詰まっていて
片付けながら、涙が溢れた。

君はもう居ないのだ。
そう、また思ったとたんになにもやる気が起きなくなった。どんどん溢れる涙に戸惑いを隠せなかった。

もっと君と居たかった。
君も、きっとそうだった。


僕はこれからもずっとこの喪失感が消えないのだろう。



君がいた日々が、思い出になっても。




お題:《喪失感》

9/10/2023, 1:12:29 PM