『失われた時間』
昨日、俺の恋人の小夜の手術があった。小夜の治らないと言われていた病気が治るかもしれないと言う、大手術。
治る確率は1割どころか0,5割にも満たないらしい。でも、この手術でしか治る確率が無いらしい。
心のどこかでは諦めていた。治らないと。無理なんだと。
でも、今は確信している。絶対に成功すると。
理由は1つ。俺はある事をしたから。
公園のベンチに座り絶望していた時、見知らぬ女性が話しかけてきた。そして、こう言ったんだ。
「このままじゃ彼女さんの手術、失敗しますよ」
なんで見知らぬ人間が手術を知っているのか、何故失敗すると断言出来るのか。疑問はいっぱいあった。
でも、1つだけ、方法があるらしい。
「貴方の寿命を貰います。その代わり、貴方の彼女さんの手術は絶対成功します」
その提案を受け入れたら、俺は3日しか生きれないらしい。
でも、受け入れた。そんな事で小夜が助かるなら。
そして、手術は成功。小夜の病気は治った。あの謎の女性の言う通りだ。
でも、俺の命はもうすぐ終わる。あの提案を呑んだから。
もしも、あの提案を呑まず、手術が成功していたら。
俺と小夜は、まだ一緒にいられたのだろうか?
……いや、そんなたらればを言っても意味ないか。
5/14/2024, 9:03:54 AM