学生の話
──────
「私サプライズあんまり好きじゃないんだよね」
「え〜私はこういうの好きだけど」
友達と話していると、この話題だけは一度も意見が合致したことが無い。私の周りは何故かミーハーっぽい子が多くて、どうにもそこだけは意見が合わない。これ以外の好きな物(趣味とか?)はだいたい同じなのに。
そもそもサプライズ、というもの自体が嫌いという訳では無いが、私の知らないとこでこんな準備するの大変だったんだろうなぁとか余計なことを考えてしまうからだ。いらないとこまで気を回してしまうのは昔からの癖だし、直す気力も湧かない。
♢
ある日、例のミーハータイプ親友が休んだ。せっかくだし、と屋上で一人でお昼を食べていると、上から声が降ってきた。…上から?屋上なのに?
声のするほうを向くと、後ろには男の子が立っていた。
私が座ってたんだ、立っている彼の声が降ってくるのは当たり前か。
彼は私のクラスメイトで、友人とは呼べないぐらいの距離感だった。…この「距離感」は、私が敢えてとっていたのに。
「…なんですか」
「クラスメイトにそれは無いでしょうよ」
「あなたみたいな陽キャさんは得意じゃないの」
「あなたの友達陽キャばかりですけど?」
「趣味が合うだけなの」
ふぅん、とだけ言って帰る…と思えば、彼は風で吹き飛んでしまいそうなほど小さな紙を私に渡して帰って行った。いや結局帰るんかい。
律儀に折りたたまれた紙は、あの彼が折ったようには見えなかった。これがギャップというものなのか…?
はらりと四つ折りされた紙を私も律儀に、と言わんばかりに両手で開く。
【告白したいから放課後校舎裏来て】
卒倒した。
♢
(告る前に幻滅されても困るしこれならいけるだろ、っていう安心材料にしたかったんだけど…)
((これはこれで心臓やばいな…!?))
20250213 【そっと伝えたい】
2/13/2025, 11:52:07 AM