茶園

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短い小説 『眠れないほど』

 真夜中私は寝室に一人でレポートを書いている。
今日は変なミスで時間を取られ、仕事は業務時間内に終わらず、残りを家で仕上げる羽目になった。
 家でならストレスなくできると思ったが、眠気が強くなってきている。眠気との戦いもまた、ストレスだ。
 傍らに栄養ドリンク。飲んでも大して変わらず。私は頭を抱えた。

 部屋の外を誰かが通った。光越だ。光越はハミングをしていて、何だか上機嫌だ。
 何をしているのかきくと、光越は陽気な感じで「絶品果実を食べたんだ」と答えた。
 “絶品果実”?私は思わず言葉を繰り返した。
 光越は「冷蔵庫に入ってるからお前も食べろよ。眠気吹っ飛ぶぞ」と言い、笑いながら去っていった。
 “眠気吹っ飛ぶ”それは今正に私が求めていたものだ。

 興味本意で冷蔵庫を開けた。丸く赤い果実。だが今まで見た果実とは違う。これは一体何だろうか。
 口に入れたら、苦い。と思ったその直後に突然刺激が口の中で飛び出し、全身を伝った。その刺激は何とも言えない快感であり、仕事の疲れなど微塵もなくなった。
 すっかりハイになり、仕事に取りかかった。不思議なことに数分で終わった。
 あの果実は凄い効果である。どんな眠気でも眠れないほど集中力が高まる。今度光越に会ったら何の果実かきいてみよう。

12/5/2022, 11:28:23 AM