3.夢と現実
想像力の余地もない、ピピピピという電子音が響いた。
一番嫌いな朝が来た。
さっきまでの心地よい空間はあっという間に何処かへ消え、見飽きた茶色いシミのある白い天井が見えた。
―――ああ、今日もいつもと同じか。
僕は小さくため息をついた。
現実逃避だとは分かっている。
でも夢の中で自由を求めたっていいじゃないか。
狭くて苦しい現実世界とは違って自分の想像でどうにもなる夢の世界は僕の人生の大きな支えだ。
夢を見ることまで諦めろと言うなら、僕は死ぬだろう。
12/4/2023, 10:14:46 AM