彼の見た目は、男性なのに愛らしさがあって、楽しいことが大好き。誠実さと、優しさ、何よりも面倒見の良さもあって……色々な女性から好意を寄せられている。
声をかけてくれるのは、心配してくれるから。
それでも、こっちを見てくれるのが嬉しかった。
遠くから見ていると、女性に囲まれることも多い彼。みんなに愛されているのも、その視線に本物の好意があるのも分かってた。
胸が痛い。
でも、大好き。
この想いは、彼を困らせてしまうかもしれない。
だから、言葉にしちゃダメ。
でも、大好き。
ずっと気持ちを押し殺した。
彼に笑って欲しかったから。
困っているなら助けたい。
いつも助けてくれるんだもん。
ほんの少しでも、優しさを優しさで返したい。
私はそれでいいって言い聞かせた。
そんなふうに思っていたのに。
呼び出されて、話をするうちに好きな人の話になった。
好きな人がいると言われて、胸が痛かった。
でも、彼が告げたのは……。
耳まで赤くして、伝えてくれたのは……。
嬉しくて、涙が溢れた。
戸惑いながら、優しく抱きしめてくれる彼に、自分の気持ちを告げた。驚いた顔をされたけれど、お付き合いすることになった。
「付き合っているってみんなに知られたら嵐が起こりそう……」
項垂れる彼の言葉に、驚いてしまった。
「どっちがですか!?」
モテるの、知っているんですよ?
そう視線で伝えると、手を繋いで笑ってくれる。
「まあ、どんな嵐が来ようとも、俺は君を離す気ないからね」
その言葉に嬉しくて、私も挑戦的に微笑んだ。
「私もですよ!」
おわり
お題:嵐が来ようとも
7/29/2024, 12:47:59 PM