【誰もいない教室】
放課後。
それぞれ部活なり
アルバイトなりと
教室には誰もいなくなっていた
夏が終わる
日が暮れ始めた空が
紅く染まっていく
「ねえ」
「?」
「早く帰らないと」
「そうだね」
知らない女子生徒から声をかけられた。
「(綺麗な子)」
長い黒髪を滴(たら)した
まるでお人形のような女の子。
あれ?そう言えばあの制服って…
私は荷物を持って逃げるように教室を飛び出した。
「(だってあれは)」
創業当時の制服にそっくりだった。
今の制服は新しいデザインに変わっていた。
だからあの制服の生徒が居るわけはなかった。
私は後ろを振り返らず
ただただ家路を急いだのだ。
9/6/2025, 11:27:20 AM