ミツ

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「春だなぁ〜」

「何を今更」

「いやね?なんか、春って桜のイメージあるじゃん」

「そうか?俺は断然花粉だな」

「あ~、そういうのもあるのか…ま、こうやって桜を眺めながら登校してると、ようやく実感できた感じ」

「…何でこの高校選んだんだ?」

「え?んー…知ってた?この学校の屋上から見る景色が綺麗なんだって」

「知らない、それだけ?」

「それだけ」

「そ」

「あ!見て見て、可愛い花だねぇ〜」

「あぁ、……大人になったな」

「どういう意味?」

「いや、昔は道端に生えてる花なんて見向きもしなかったから」

「そんなことないよー」

「自覚してんだろ」

「……」

「髪に桜の花びらがついてる」

「うっそ、どこどこ?」

「取るからじっとしてろ」

「そーっとね、取ったら渡してね」

「……はい」

「わー!可愛い!なんかすぐ無くなっちゃいそう」

「そんな一つの花びらよりあっちの角に沢山溜まってるけど」

「ホントだ!行こう!」

「引っ張るな」

「花びらいっぱい!可愛いし綺麗だし最強かよ」

「おい、そんなに散らすと」

「えい!」

「やめろ、かけてくるな小学生か、俺についてない?」

「ついてる」

「取ってくれ」

「嫌ですー」

「はぁ?」

「小学生扱いしたじゃん」

「悪かった、小一だから分からんのか」

「また言った!私はもう立派なお姉さんです」

「違う、俺の方が年上だ」

「じゃあ、おじいちゃんだね」

「俺がジジイならお前はババアだな」

「違いますー!」

「俺等は双子だぞ」

「………さーて、もう行きますわ、これ以上のんびりしてると遅刻しますからね」

「逃げるな」

「ふっ、髪の毛とか制服にいっぱい花びらついてるけど?」

「チッ、はぁ~、もうお前と一緒に登校しないから」

「でも、お母さんが心配するから今日だって一緒に来たんだよ?今更辞めるともっとお母さん心配して倒れちゃうかも」

「……チッ」

「まぁ?せいぜい遅れないように頑張ることですね」

「ムカつくな」

「はっはっはっー!」

「楽しそうな奴め…後でしばくか」

〜その頃〜

「ひっ、なんか悪寒が……怖」


                              ー春爛漫ー

4/11/2024, 1:07:58 AM