さく、さく、さくり。音を立てて霜柱を踏みつけ遊ぶ弟を見ながら、そっと手に息を吹きかけた。冷たい木枯らしが吹き抜け、体を震わせる。少し前までの暖かさなど欠片も抱かない風と遠い陽に、眉を下げ空を見上げた。さく。さくり。小さな足音。落ち葉の道を歩いた時のような、けれども少し違う音に季節が過ぎていることを感じる。秋は過ぎてしまった。今、ここに在るのは冬なのだと、風や大地が教えてくれていた。
12/4/2025, 10:11:06 PM