ことり、

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だから、一人でいたい。

「もう、なんか、うざいよね」
ドキリとした。言い当てられた気がした。

ーおーい、ビール一本!
ーは、はい、今すぐ!

「いいよ、あんな親戚のオジサン、
ほっとけば」
夫の甥っ子の、何君といっただろう、
長めの前髪から涼しげな瞳が覗く。

お盆三日目、宴会続きの夫の実家、
台所の片隅。大広間から逃げて来た、私。
「◯◯さんてさ、何が好きなの?」
え、名前覚えてくれてた?
甥っ子君は手に持った缶を傾け、中身を
飲み干した。
アルコール?いやジュースだ。
「好きって何が」
「趣味とか」
「こんなおばさんの趣味聞いてどうするの」
無理に笑った。

「いや、別に、世間話だよ」
甥っ子君はニヤリとした。
八重歯が、光った。

8/1/2023, 2:24:00 AM