人の痛みに敏感な君は、はらはらと涙を流す。まるで自分の傷のようにひとつひとつ掬い上げてはのみ込んで。かわいそうや残念だと思うことはあるが君のように心全てを寄せることまでなんて俺には出来ない。
優しい君の美点でもあり弱点でもある。ひとり生きていく中でも数えきれない、表現のしようがない思いをするのに他人の心にまで寄り添う君。繊細というとガラスのハートと例えがあがるが、いつかそのガラスが割れてしまうかもと考えるだけで気が気ではなくて、『同情』を寄せ続けている君をかき抱く。
指先で払おうと光を受けた君の滴は、ガラスではなくダイヤモンドに見えた。やわらかに反射して、割れることはなく磨かれているんだと。だから壊れることなく尚優しくて。
「どうしたの?」
「何でもないよ」
それをどうかすべての人へ向けるのではなく俺だけに向けて欲しいと願うのは身勝手だろうか。
2/20/2023, 11:28:42 PM