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力を込めて


その人は儚い人だった
地に足がつかないというか、
気づくとそばに居なくて
ふわふわと何処かへ行ってしまう
背中に羽でも生えているような人だった

いつからだったか、もう覚えてもいない
ある日突然だったのか
じわじわとそうなったのか
分かりもしないけれど
いつしかその人を好きになっていた

いつも隣にいるのに、
気づくと居ないその人を
繋ぎ止めるのはいつだって、

「死ぬまで貴方を愛してる」

爪が手のひらに食い込むほど
一生懸命に声に乗せる

そうすると貴方はいつも

「人間はすぐ死ぬ」

そう言ってまた私の隣を歩く

10/7/2023, 10:08:33 AM