綺麗な夜景だと、遠くの展望台から、誰か見ているのだろうか。
パソコンの電源を落として僕は大きく伸びをする。残業続きの体は、疲弊からか軋み始めている。
開けっ放しになっていた窓に近寄って、外に視線を投げる。辺りに立ち並ぶ建物は、煌々と明かりがともり、人影がその灯りの中に蠢いている。
美しい夜景も近くで見れば人の営みのひとつにすぎない。
溢れかえる有象無象の明かりのひとつ消えたところで誰が気づくのだろう。
夜景のひとつを今まで彩っていたんだ。帰ってビールのひとつあおってもゆるされるはずだ。
そう僕は独りごちて、電気のスイッチを押した。
『夜景』
9/19/2024, 9:39:01 AM