きっともうあの頃のあなたは戻らないのでしょう。
きっとそうあの頃のあなたは幻だったのでしょう。
辛くて苦しくて、なんにもなかった私に、
神様が見せてくれた一時の夢。
その一時の夢に甘く浸ることは許されても、
夢を手にする傲慢な願いは
叶えられることはなかった。
微笑んでくれたあなたは、
優しく撫でてくれたあなたは、
暖かく包んでくれたあなたは、
ただの夢で淡い幻想で。
鋭くて冷たいその眼光と、
荒々しく掴みかかるその掌と、
突き放すような態度に声色だけが、
それだけが現実で本当で真実で。
本性で。
ただ偽りだった。
それだけのことで。
見限ればいいなんて。
わかっているのに。
離れればいいなんて
分かっているのに。
優しい頃のあなたが
目を閉じるだけでチラついて。
大好きだったあなたが
頭から離れなくて。
偽りでも
夢を見せてくれたあなたを。
どうしても、どうしても。
『私は、あなたが好き。』
【落ちていく】
11/24/2023, 9:24:02 AM