お祭り
君が私を出掛けに誘ってくれたのは初めてだった。
特に、人が多く集まる場所へは行きたがらない君が、この街で一番大きな祭りの日に一緒に行こうだなんて。
私は二つ返事で答えたが、正直緊張している。
こうして君を待っている間も、落ち着かない。
本当に君は来るのだろうか?
――ごめん、お待たせ。
このりんご飴、人気ですぐ売り切れちゃうんだ。
今日しか出店しないから、どうしても一緒に食べてみたくて。
りんご飴を両手に持ち、駆け寄ってくる君。
愛おしさがこみあげてきた。私はそっと顔を伏せる。
今の私の顔、きっと林檎よりも赤い。
7/28/2023, 1:00:09 PM