夜明け前
夜明け前の静けさが心地よい。
張り切りすぎて、設定していたアラームよりもずっと早くに目が覚めてしまった。
まだ外は暗いけれど、部屋の中は温かい光に包まれている。
僕は彼女のために作った朝食をテーブルに並べながら、心の中で小さく笑っていた。
仕事人間である彼女の朝は早く、僕の目が覚める頃には居ないのが当たり前となっていた。
仕事の準備だけでも大変なはずなのに、彼女はいつも僕に朝食を作ってくれていた。
僕は胸がいっぱいになるくらい嬉しかった。
けれど彼女は「冷めたご飯しか出せなくてごめんね」なんて悲しい顔で言うものだからとても申し訳なくなった。
だから今日からは、僕が君に朝食を作ろうと思う。
君みたいに上手くは作れないかもしれないけど、休日に練習する予定だから今日は許して欲しい。
そんな事を考えながら食器を並べていると、優しくゆっくりと寝室の扉が開いた。
出てきたのは、目を擦りながら驚いた表情でこちらを見ている彼女。
その顔を見るだけで僕の心臓は高まっていた。
「おはよう。」
これから毎日、彼女との時間が増えるのなら早起きも悪くないかもしれない。
9/13/2024, 12:16:52 PM