ずい

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『たとえ間違いだったとしても』

漫画のような恋をした。
漫画みたいに恋に落ちた。

誰が信じるだろう?大きな荷物を持って歩く二人が恋人なのだと。数年前、付き合い始めてすぐに親の再婚で姉弟になった。それは二人の仲を裂く理由にはならなかった。

今二人は、地球を襲う異形との戦場へ向かっていた。

AI装備と電子回路がマッチした姉は戦士に。
弟は姉の、愛しい恋人の側にあるためにメカニックになった。
本当は戦士として一緒に戦いたいけれど素質がないと断言され門前払いを食らった。

親にも、友にも、仲間にでさえ異常だと言われた。
けれど誰に何を言われようとも。
たとえ間違いだったとしても、戦のたびに震える姉の手を取り、怯える体を抱き、愛をささやく唇に自分の唇を合わせる。その役目は誰にも譲らない。

行先のはるか彼方から化け物の咆哮が聞こえる。

「行こう、姉さん」
「うん。貴方とならどこだって行けるわ」

ああ姉さん、愛しい人。
貴女のその言葉さえあれば僕は何だってできるよ。
だからどうか最期までこの手を離さないでいて。

4/22/2024, 10:15:28 AM