君の奏でる音楽
何でもない鼻歌が好きだった。
台所に立って、野菜を切りながら懐かしいメロディを口ずさんだり、洗濯物を畳みながらふと溢れる様に出てくる鼻歌が、いつの間にか日常になっていた。
「なんの歌?」
「これはねぇ…さっき作っちゃった、どう?」
なんて茶目っけたっぷりに言われたこともあったな。いいね、なんて答えた気がするけど、正直歌の良し悪しはよく分からなかった。
でも、君が楽しそうだったから。
それだけでいいかな、って思ってしまったんだ。
最近は随分と静かになってしまったけど、代わりに歌っておくよ。あの時は聞けなかった歌の続きを代わりに作って歌うからさ、たまには会いに来てね。
8/12/2024, 3:48:33 PM