抹茶売りの少女

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「時間ですよ」
はい、としぶしぶカバンを背負う。

私は朝友達と学校にいったことない。
過度な心配性が私を冷たい車に押しこむ。
毎日車とか、病弱や金持ちキャラのようでウザったらしい。
ちょっと、かなり嫌だ。
冬でも肺が凍るほどにかけられた冷房の風が、なんだかツンとする。

その日は違った。
朝早く家を飛び出す。
ああどうしよう。怒られるかな。逃げちゃった。怒られるかな。
すこし足がふわふわする。

さすがに早すぎた。
一人かと時計を見て息をつく。すこし歩いただけなのに、息が切れる。肩が上がる。
その時、キッと自転車の音がした。

振り返ると、ちょうど陽がのぼる。
朝日の温もりを肌で感じながら、泣きそうになった。
「やっと好きになれたよ、ママ」

6/9/2023, 10:42:02 AM